いのちの大切さ、重みについて考える「いのちの講演会」

 

 トキワ松学園では「生と性教育」の一環として、年に3回「いのちの講演会」を行っています。全学年を対象とした今回の講演は、フォトジャーナリストの佐藤慧氏をお招きし、「共生の世紀に向けて~未来を紡ぐ生き方~」と題し、南部アフリカや中米での地域開発、ザンビア共和国での学校建設、東北の被災地の子供たちの様子をお話ししてもらいました。

 佐藤さんはアフリカを中心に取材をされています。また岩手県盛岡市のご出身でもあり、ご家族は陸前高田市に住んでいらっしゃいました。先の震災でご家族も被災され、復興支援団体「みんつな」を立ち上げながら取材を続けておられます。震災だけではなく、世界で起こっている不条理な出来事を私たちの「未来の糧」とするにはどうしたらよいのでしょうか。そのようなお話を、それぞれ印象深い写真を交えてしていただきました。以下は生徒たちの感想文です。

▽佐藤さんは自分のつらい経験を私たちが理解できるように丁寧にお話しして下さいました。私なら自分の大切な人が亡くなってしまったら、またその話を他の人に伝えようとは思いません。ですが、佐藤さんが私たちに伝えてくださったことにより、私も自分の深い傷をもう一度振り返り、整理し、受け止めるべきなんだと思うことができました。貴重なお話を聞くことができました。お話をしてくださってありがとうございました。

▽私は進学先を美術大学の映像学科を志望しています。理由はドキュメンタリー映像を作りたいからです。そのため今回佐藤さんのお話しは将来についてとてもためになりました。佐藤さんの「ご遺体の写真を取らない」という考え方、その理由にとても感動し、とても共感しました。私は自分の作品を前向きなものにしていきたいと思っています。

▽私は佐藤さんのお話を聞いて、いのちよりも重いものはないと改めて思いました。終わらない戦争、埋まることのない経済格差、生まれてからすでに決められている寿命の長さ。私たちが見ていない、本当に理解していない所や意識の中でとても残酷なことが今も起きているということ。佐藤さんのお話と写真を通して「知らない」ということの罪。また気付いていてもどのように手をつくせば良いのかわからない現実。たくさんの人間の問題に直面し、深く考えさせられました。私たちは自分本位に生きるのではなく、分け合うことができると私は考えています。完璧な平等は難しく、相手を受け入れることはもっと難しいかもしれませんが、世界中の人々が分け隔てなく肩を並べることができた時、私はそれを本当の平和と呼べるのではと思います。